先月、某都営地下鉄に乗っていた時の事。何気なく車内広告を眺めていると、こんなかんじのポスターが窓の上のスペースに掲示されていました。

※実際はもっと横長で、文言も多少違っていたと思います
私は一日3回くらい「死にたい…」と思うくらいの超ネガティブ思考なんですが、これを見た瞬間どっと脱力したというかなんというか。なんかこのイラストも妙に不安感を煽る構図だし。
どうやら東京都が自殺防止キャンペーンというのをやっているらしいということはわかったものの、「みんなで いのち を大切に」って、なんだよ…なんて何も響いてこない空虚なコピーなんだと思いました。そんなコピーと謎のイラストでどうしようっていうんだよ。
本当に自殺を防止したければ、なんかいのちの電話とか、弁護士会とか、消費者センターとか、関係各所の電話番号とかをどーんと載せた方がなんぼかましじゃないか、私がこのポスターのデザイナだったらいくらなんでもそうするよ、と思いながら目的の駅に着いたので降車しました。
さて、今日、たまたま
自殺対策支援センターライフリンク 「いじめ自殺」報道のあり方
のサイトを見ていたところ、『 「自殺を予防する自殺事例報道のあり方について」のWHO勧告(2000年) 』の中の『自殺予防の為にやるべきこと』という項目が目に留まりました。
1)やるべきことああ、やっぱりそうなんだ。自殺に代わる手段を提示したり、ヘルプラインや地域の支援機関を紹介することが重要なんだなあ。あのポスターはそうあるべきだったのに。
・自殺に代わる手段(alternative)を強調する。
・ヘルプラインや地域の支援機関を紹介する。
・自殺が未遂に終わった場合の身体的ダメージ(脳障害、麻痺等)について記述する。
それでその『東京都自殺防止キャンペーン』とやらがどんなものなのかを見に行きました。
(東京都のトップ頁からはリンクが見つからなかったので、「東京 自殺 キャンペーン」で検索。やな検索語だ)
「自殺防止!東京キャンペーン」の取組について|東京都
その取り組みの中にあのポスターがありました。そうか、都民公募の優秀作だったのか。それであればイラストのクオリティについては問うまい…。
しかし、そのポスターのPDFをDLして愕然。

この縦位置版のポスターには、ちゃんと(といっても文字が小さいしわかりにくいけど)関係各所の電話番号が表記されているじゃないですか!
それを地下鉄の横長の広告にする際に端折ったってことでしょうか…?
もしそうであれば、最も伝えなければならない部分を端折ってしまうその思考回路がわからないよ。
意地悪く考えると、あんまり電話番号を目立たせてしまうと、イタズラ電話が増えて困るとかそういう理由なのかと疑いたくなる。それはしかし本末転倒じゃないかなあ。
一応フォローすると、私が見たそのポスターが、本当は2連広告で横には電話番号が張り出される筈だったのに、たまたま枚数とか場所の都合でイラスト部分だけが掲示されていたということもありえなくないです。むしろそうであって欲しい。しかも私が見たのはそれ一度きりで、地下鉄に乗っていた時間は2分くらいだったから見落としていたということもありえる。
なんにせよ、ちょっとお粗末だなあ、と思いました。本気出しているのかなあ。
ところで報道発表にあったキャンペーンバナーってどこにあるのか謎。もう4月でキャンペーンは終わったから配布は終了してしまったのでしょうか。
それでいろいろ都のサイトを彷徨っていたら、
自殺総合対策東京会議 東京都福祉保健局
のページに辿り着きました。よく見たらあのポスターに書いてあったURLです。(長過ぎてポスターに書くURLじゃないよ…)
そこからちょっと興味あった統計資料を発見。
東京の自殺の現状 東京都福祉保健局
自殺死亡者は約2500〜2700人で推移しており、交通事故死亡者の9〜10倍に上っています。自殺の方が交通事故より多いというのは知っていたものの、本当に自殺できた人は1/10人だとか、うちの父くらいの年齢の人が一番多いとか知らなかったな。(あ、でもその年代の人口が多いからということか)一人の自殺死亡者の背景には、10人の未遂者がいるといわれています。
自殺死亡率が最も高いのは、男性の60代前半となっています。
他にもページの下の方にある「東京都の自殺の現状」というPDFで(何故にPDFなんだ)いろいろ統計を見て行くと、やっぱりうつ病が自殺の背景の半分を占めているのかとか、いろいろ興味深かったです。
しかし、もう一度WHOの勧告に戻ってみると、あんまり詳細にこういうものを見てしまうと、精神的によくなさそうなのでこれにて終了。
このエントリはデザインカテゴリに入れるべきか?